ディガーになる
ディガーになる
ディガーは二十数年前には存在すらしていなかった職業で、呼び方や仕事の内容はスキー場によって様々です。
しかし、その役割や業務の専門性から、今後必要とされる職業であることは間違いありません。
そこで、プロディガーの現在を紹介し、ディガーが何をしてどのような待遇で仕事をしているのかを見ていきます。
3-1 ディガーになれる人
例 :スキー場の勤務経験が「長い」=「凄い」と思っている方
→ ディガー以外のスキー場勤務経験は関係ありません。
例 :ディガーが何かもわからない方
→ 勉強すれば理解できるので問題ありません。
例 :ディガーには専門技術が必要であることを知らない方
→ ディガーの職業に就くことは比較的簡単ですが、技術や経験が大きく関わる仕事です。
例 :自分にはディガーの上級技術がないと思っている方
→ 勉強と経験で習得できるので問題ありません。技術やサービスの質が高いチームで仕事をすれば、成長するスピードも速いと言えます。
例 :ディガーはスキー、スノーボードが上手くないといけないと思っている方
→ 整備道具や15kgほどの重さの物を持って滑る事が出来ればOK。
例 :ディガーは女性にはできない仕事だと思っている方
→ 本人の志の問題で、活躍できる場はあります。
基本的には下記の7か条を備え持ち、「仕事は教わろうと思わず、見て盗むことが出来る」という人はディガーになる事ができます。
1.スノーボードやスキーが好き
2.ディガーは誇りの持てる職業だと思える
3.職人としての心構えを持っている
4.自分を奮い立たせる根性を持っている
5.自己管理力がある
6.思いやりがある
7.健康な体である
3-2 1日のスケジュール
※パーク内容や、チームの人数によってスケジュールは変わります。
例)
時間 | スケジュール |
7:30 | ・早出2名ディガー小屋集合(大雪の場合は全員集合) |
・状況確認 | |
・ストーブ点火 | |
・モービル暖機(講習を受けた人が運転する) | |
・インク用意 | |
・ドリル、道具段取り、作業開始 | |
7:50 | ・遅出4名ディガー小屋集合 |
・道具段取り、作業開始(アイテムの破損もチェックする) | |
・レール・キッカーのテイクオフ手直し | |
8:20 | ・雪造物へのインク塗布作業 |
・パーク試滑走 | |
・パークオープン前の看板、バナー、ポール、ネットなどが定位置にあるかチェック | |
※雪上車・モービル作業は8:30までに終わらせる | |
8:50 | ・パークオープンを本部とパトロールに連絡 |
※8:50前でも整備終了次第オープン連絡 | |
・場内音楽スタート | |
9:00 | ・パイプ整備 |
・30分おきに必ずパークを滑走チェック | |
(パイプ手直し、インク作業、バナー、順番号札、告知看板立て) | |
(最低1人、状況により手直し) | |
・オープン前の滑走安全チェック | |
・パイプエリア内の危険箇所やゴミなどをチェック | |
9:50 | ・パイプオープンを本部に連絡 |
※9:50前でも整備修了次第オープン連絡 | |
9:55 | ・朝礼(ヘッドディガーは1日のスケジュール等を聞く) |
10:00 | ・出勤簿にチェック |
・30分おきにパイプの滑走チェック(最低1人、状況により手直し) | |
・交代でパトロール(アイテムの破損チェック・整備) | |
12:00 | ・交代で昼食 |
12:30 | ・1時間のパイプ整備作業(全員) |
13:30 | ・パーク昼整備 |
14:00 | ・圧雪隊と打ち合わせ |
16:00 | ・パイプ片付け作業(早出組2名) |
・ナイター整備(バナーやのぼりの回収を含む) | |
16:20 | ・パトロールとの事故確認 |
16:30 | ・早出組下山 |
・パーク片付け作業(遅出組4名) ナイターオープン用アイテム整備 | |
・ディガーハウスのゴミを運ぶ(遅出組4名) | |
16:50 | ・火の元を確認 |
・トランシーバー、その他電気機器のオフ | |
(本部へのホウレンソウ) | |
(下山) | ・充電の確認 |
<その他の業務>
・ 雪上車がゲレンデを移動する時のサポート
・ ディガーハウス周りの除雪
・ インクの残量確認
・ モービルの燃料と混合オイルの確認
・ 道具の手入れ(ワックスがけなど)
・ ストーブ燃料の管理
・ ドリルの充電と管理(日中)
など
3-3 雇用形態
雇用形態はゲレンデによって異なります。
<雇用形態一例>
例1)チケットはアルバイトで共有して使用、休憩時間は1時間でディガーとして1日働き、寮費・食費・交通費は自己負担で賃金無し
例2)チケットは各自1枚もらえる、スキー場に申請してからの手渡しで、寮費・食費・交通費は自己負担で賃金無し
例3)シーズンパスは各自支給される、寮費・食費・交通費は自己負担で賃金無し
例4)シーズンパス・寮費・食費・交通費は支給される、賃金無し
例5)シーズンパス・寮費・食費・交通費が支給される、賃金も支給
「例5」の待遇が当然であるべきですが、自然が相手ということで拘束時間が長くなりがちなディガーは、賃金が最低賃金を下回るゲレンデも少なくありません。
「例5」の待遇(世間一般の就労規定)を基本水準とする、ディガーの世界を作っていく必要がある事を覚えておいて下さい。